2017年7月2日日曜日

レッテルを貼らない

   「ちび」「でぶ」「うすのろ」「でめきん」など、あだ名を付けられた友人がいました。屈辱的なあだ名です。皆さんの周りにもこのような類のあだ名の友達はいませんでしたか。このようなあだ名は、感じやすい子どもの心を傷つけます。セルフイメージに大きく影響を与え、将来の人格形成を左右することになります。
私が小学五・六年生の時にMくんという太った友達がいました。彼は、ある時NHKの取材を受けてテレビ番組に出演しました。その番組内容は「肥満児への対策」でした。そのテレビ放映後、クラスメイトは、Mくんのことを「肥満児」と言ってからかいました。持ち前の明るさのあったMくんはにこやかに対応していました。しかし、ある時こう言いました。「取材中に出されたお菓子を食べただけなのに、テレビではこんなに食べては食べ過ぎですと言われた。」と悔しそうに、悲しそうに話してくれました。Mくんは、テレビのコメントに裏切られたように感じ、がっかりし、更に私たち友人からの「肥満児」という言葉に傷ついていたのでしょう。悪いことをしたと今も思い出しています。次第にあだ名を使うものはいなくなりましたが、Mくんは辛い思いをしていたし、その後も辛かったのではないでしょうか。
子どもは、他人からどう思われているかという評価に大きく影響を受けていくものです。学校だけではなく、家庭内でも起こりうる問題です。親が自分の子どものことを「何しているの、まったくのろまなんだから」と決め付けているとしたら、それは、子どもを本当に「のろま」に仕向けていることになるかもしれません。「どうしてできないの。バカね」などと罵っているとしたら、そのレッテルがそのまま子どもの心の中に影響を与えてしまうかもしれません。ある小児科医の言葉があります。
「子どもは自分で思うような自分になるのではありません。他人が考えているような自分になるのでもありません。他人から思われていると、自分が思っているような人間になるのです。」
親や周りの大人たちの不注意な言葉が子どもの心に刷り込まれて、いつの間にか大きな影響を与えるという事を知るとき、子どもにかける言葉の重要性を感じます。レッテルを貼らないことをこころに留めましょう。