2016年9月4日日曜日

がまん

物が豊かにある世の中で、親が子どもに「がまん」を教えるのは優しいことではないと思います。現代社会の中で、親が抱える問題の一つは、子どもに物を与えすぎないようにするということでしょう。
年末年始にかけて、おもちゃやゲーム関係の会社がテレビやチラシでコマーシャルすることに集中しているように感じます。これは、明らかに子ども達の注意を惹きつけるためです。コマーシャルを出している会社は、子どもこそ最大のお客様であることを熟知しています。子どもの関心を掻き立てるのです。
このような環境の中で、親が簡単に、繰り返し繰り返し物を買い与えていくと、かえって子ども達の喜びを奪ってしまうことになるのです。なぜならば、前から欲しがっている物がついに手に入った時にこそ、大きな喜びを味わうことができるというものです。お腹がすいてすいてどうしようもなかった子が、1粒のキャラメルで気分が晴れる。このキャラメルはどんなゲームソフトよりも価値があるでしょう。がまんをした結果のキャラメルの美味しさは味覚を刺激し、記憶に残ることでしょう。同じように、何かを渇望することがなければ、手に入れた喜びを味わうこともできないでしょう。歩き始める前の子どもに自転車を与え、免許を持っていない高校生に自動車を与え、お金の価値がわからない子に高級宝石を与えても、それは本当の意味での喜びとはならず、満足を子どもから奪うことになるのではないでしょうか。
欲しいものを願い、夢にまで見て待ち望む。このような経験のない子はある意味で可愛そうです。人は、本当に欲しいものならば苦労したり、働いたりして、それを得ようと努力をするでしょう。そして、その努力の結果、手にした物を大切にするでしょう。物の価値を自ら味わい、大きな喜びを得るのです。ですから、時には、親が子どもに、がまんをさせるすること大切なのです。