2017年2月5日日曜日

長所にこそ目を留めて

人からかけられる一言で、人生が全く変わるということがあるのです。
ある教師が、新任時代のことです。クラス内に同じ名前の子どもがいました。「カズ」くんです。一人のカズくんは、いつも明るく、たくさんの友達がいて学業も優秀な生徒でした。もう一人のカズくんは、授業中に集中しないで、友達とのトラブルもあり学業が芳しくありませんでした。最初の懇談会があった時に、一人のお母さんが担任のところに来て言いました。「うちのカズはどうですか?クラスの中でみんなとうまくやっていますか」と。その時に、担任はなぜかとっさに「優等生のカズくん」の母親だと思いこう伝えました。「いやあ、カズくんは申し分ありませんね。よく頑張っています。カズくんがこのクラスにいてくれて本当に嬉しく思っています。」
 次の日、もう一人のカズくんが、担任のところに来て言いました。「きのう先生が言ったことをお母さんから聞いたよ。ぼく、先生から褒められたの初めてなんだ」
 その日の彼は、授業を集中して、しっかりと受けました。翌日には、宿題もちゃんと出しました。やがて、1ヶ月も経たないうちに「問題児」だと思われていたカズくんは大変身を遂げたのです。よく勉強するようになりました。先生と良く話すようになりました。友達とよく遊ぶようになりました。いわゆる「劣等生」が、「優等生」間違えられたために人生が180度変わってしまったのです。
このような、素晴らしい勘違いは大歓迎したいと思います。勘違いでしたが、カズくんの人生を大きく変えた原因は、褒められた経験でした。欠点に焦点を当てて指摘するよりも、長所に目を向けて、言葉で褒めてあげて、それを伸ばしてあげることが大切なのです。褒められた経験のたくさんある子は伸びるでしょう。そして、褒められたことを覚えている子は安定した生活をしていけるでしょう。