2018年1月7日日曜日

だいじょうぶだよ!

  自分の子どもの性格を変えられたらいいのに、と思ったことはありませんか。子どもを見ていると自分を見ているようで心配になる、と無用な思いを抱いてはいませんか。
小学2年生の、引っ込み思案で、恥ずかしがり屋のお子さんを持つお母さんから相談を受けました。『どうしたら、あの子の性格を変えることができるでしょうか。何とかしてあの子の心の壁を壊してあげたいのです。』と。そのお母さんによると、その子は、家にいるときには普通にお話もし、親に話しかけてくるし笑いもする。しかし、一歩外に出たとたん全く口を開かず、黙ってしまうのだそうです。学校の教室でもほとんどしゃべりません。場面緘黙という症状に当てはまるのでしょうか。教育相談所にも相談しましたが即効薬にはなりませんでした。なぜ、このようになってしまうのでしょうか。話し相手から馬鹿にされた経験がそうさせているのかもしれません。また、相手から認められずに心に傷を受けたのかもしれません。このように外的な要因が影響している場合があります。しかし、生まれつきの要因(内的要因)もあるようです。内気な子は生まれた時から内気。親がどんなに説得しても、諭しても、背中を押しても、それだけで自信に満ち溢れて、堂々と話し始めることは希でしょう。生まれつき内気な子が、突然社交的になり大変身することはないようです。恥ずかしがり屋さんは、持って生まれた性格であり、個性なのです。
そうだとすると、子どもの性格を変えようとする努力は無駄です。努力は別の方向に向けられるべきなのです。生まれつきの子どもの性格、気質を、そのまま受け入れ、可能性を見つけてあげるという努力を大切にしたいものです。子どもの個性を認め、適切に励まし、誰もまねのできない、我が子にだけ与えられている特別な人格が開花することを待つのです。焦る気持ちを夫婦で共有しながら、のんびりと見守ってあげるのです。このようにしていくうちに、次第に子どもへの心配や不安は軽減し減少していくことでしょう。
因みに、ご相談にこられたお母さんは子どもが小学5年生になった時には「あの時の事が嘘のようです」と仰いました。じっくりと子どもと向かい合われた結果が良かったようです。
「性格を変えられたら!」という親の無言の思いは、子どもに緊張を与えてしまう結果になるのかもしれません。「だいじょうぶだよ」という一言が、どんなにか子どもを安心させ、元気を与えることになるのかと思います。