2023年2月26日日曜日

冒険をさせていく

 

 過保護」良く聞くことばではありませんか。親が子どもを愛するということは大切なことです。が、可愛いからといって親が子どものためにしてあげることの何もかもが子どもにとって益になるとは限りません。子ども中心に全てのことを考え、盲目的になり「過保護」を招いてしまうということになりかねません。

 「子どもの成長だけが楽しみです。」とよく仰るお母さんがいました。チョッと神経質になっているように見受けました。長い夏休みの間も、そのお母さんは子どもが自宅の庭で遊ぶのを見守っていたようです。ほとんど外出もしないで家の窓から子どもが庭で遊ぶのを見ている様子でした。子どもが怪我をしないかと心配でその母親は心の中でハラハラしていたのでしょう。彼女は毎日毎日、子どもが外で遊ぶ間、窓からひたすら子どもを見張り続けたのです。「可愛いい子どもにもしものことがあったら・・・・」と、そればかりが頭の中を支配していたのです。一人っ子で長男。ご主人が事業をされているので跡取りが出来たと喜ばれ、大切に大切に育ててきたのだそうです。確かに事故や怪我、病気がいつ襲い掛かるかわかりません。親にとってみれば、わずかな不安が何倍にも増幅されて、いても立ってもいられなくなるのでしょう。しかし、これではかえって子どもが迷惑です。息苦しさに参ってしまうのは子どもの方でしょう。子どもを育て、子どもを守ることは親の大切な役目です。また、親にいつまでも依存せず、自分の行動に責任を取ることが出来るように、子どもの成長に合わせて冒険をさせていくことも親の大切な役目です。子どもを守ることと冒険をさせること。これを両立させることが親の役目ではないでしょうか。両親の「4つの目」が行き届いている環境の中で、子どもが生き生きとした生活が出来るように、やがて片目を閉じて子育てに当たる時期が来るのでしょう。今から、やがて来るそのことを視野に入れておくことをお勧めします。

2022年11月13日日曜日

食事のときに

 


 お子さんが自分で食事をとるようになると、「遊び食べ」をして親を困らせることがあるかもしれません。食事に集中しないで食べたり遊んだりを繰り返すのです。食事のたびに、この「遊び食べ」を繰り返していくと親は大変なエネルギーを消耗させられることになります。

食卓は、本来楽しい場であるべきです。お食事を美味しく味わう雰囲気は大切です。しかし、しばしば親と子の根比べの場になってしまうのです。これを繰り返すと食卓は楽しい場ではなく、重苦しい場になってしまうでしょう。

「このにんじんを食べるまでは席から立っちゃダメ!」

「ご飯を残したらデザートあげない。」

と、いくら脅してみても、そう言った親自身が、問題の解決になるとは感じていない。

 「世界には食べたくても、ご飯が食べられない人がいっぱいいる」

と、説教しても子供には効き目無し。

楽しい食卓が、闘いの修羅場になってしまうことは避けたいものです。

どうしたら良いでしょうか。どうしていますか。ある教育学者の提案をご紹介します。

『美味しそうな食事を食卓に並べても、子供が食べようとしなかったら、すぐに、冷蔵庫に片づけてしまうのです。食事よりも興味があることがあるのでしょう。ここで、きつい言葉で子供を叱責しても始まりません。また、このようなことを繰り返すことも避けたいものです。食べないのなら、冷静に判断してお皿を片づける。子供が食べたくなったら、確実に食卓に戻ってきます。子供が、戻ってきたら冷蔵庫からお皿を出してレンジで温め、食卓を整える。遅かれ早かれ子供は食べずにはおられなくなるのです。しかし、ここで気を付けるべきは、食事の代わりにお菓子やデサートをあげてしまわないことです。これは大切なポイントです。子供の取引に乗ってはいけません。食べられるものが目の前にありながら好き嫌いの文句を言う子はいても、餓死する子はいません。心配しないで結構です。空腹を覚えればガツガツ食べるのです。食事のたびに、いらいらするのは親にとっても子供にとっても良くありません。穏やかで楽しい食卓を囲めるように工夫をしましょう。』 

2022年9月11日日曜日

子どもへの影響力

ある調査による、おにぎりの具で人気のあるベスト3、第3位=梅。第2位=明太子。第1位=シャケ。シャケが断トツだったそうです。因みに10~20歳代はツナも人気が高いそうです。さて、シャケについて。

 シャケの旅について皆さんはご存知でしょう。生まれた川に戻って来るという習性があります。ある孵化場のレポートです。孵化したシャケの稚魚は孵化場の配水管を通って小川に放流され、小川から広い川へ、そして川から太平洋へと泳いでいきます。海へとやってきたシャケは、その後、何千キロも海での旅が始まります。そして、まるで誰かに命令されたかのようにシャケたちは過酷な旅をしながら、元の孵化場へと戻って来るのです。海から広い川への入り口を見つけるだけではなく、シャケたちは同じ川、同じ小川を選んで遡ってくるのです。そして、自分が孵化した生まれ故郷へと迷うことなく戻ってくるのです。まったく不思議です。これだけでも驚きですが、更に驚くべきことは配水管の中を泳ぎ、ついには配水管の先についている重い蓋を押し開けて自分が生まれたタンクにまで戻ってくるのだそうです。数あるタンクの中でも自分が生まれたタンクを目ざすのです。それが分かったのはシャケのひれに付けた特別なしるしによって、この驚くべき旅の事実が判明したのだそうです。

 驚きです。育った環境(タンク)がシャケの一生に大きな影響を与えているのです。そこから広げて考えてみると、親が子どもに与える影響力の大きさも考えられるのではないでしょうか。子どもたちは自分の育った環境がすべてではないにしても、環境から大きく影響を受けています。そして、家庭で味わった愛や聞いた言葉や教えなどによって性格が形成されていくのです。何か重い責任を親は負わせられているように感じます。でも、親も初めから親ではないのです。親として成長していくように謙遜に学んでいくことが大切です。


2021年4月18日日曜日

子どもの個性を大切に


 全ての子どもの心に、しっかりと存在している思いがあるとすれば、それは、「私の居場所はどこにあるのか。私は愛されているのか。」という事ではないかと思います。違った見方をすれば「私はこの家にいていいのか。私のことを親はどう思っているのか。」となるのではないでしょうか。その思いに答えをはっきりと与えてあげるのが親の務めの一つです。

さて、親はどうしたらよいのでしょうか。1歳児は親の顔を見ながら行動します。親からの承認を求めているのです。そして、次第に行動の範囲が広がっていきます。3~4歳児になると親の顔を見ながらではなく、怒られると分かっていても、わざと「ワルサ」をするようになります。肯定的に見るならば親からの自立への芽生えであり、これも親の承認を求めている行為とも言えるでしょう。著しい社会性の拡大の時期でもあります。このような時期に子どもの個性を大切にし、子どものセルフイメージを高めてあげるよい方法は何でしょうか。その一つは、お子さんを一人の人格として大切に扱うことです。「あなたはこの家の宝物。お父さんとお母さんはあなたが大好きだよ。」というメッセージを伝えるのです。どのようにしてそのメッセージを伝えたらよいでしょうか。どの子どもにも効果があると思われる方法をご紹介します。それは、子どもに必ず訪れる誕生日です。心を込めて誕生日をお祝いしてあげるのです。それも、お仕着せのようなお祝いの仕方ではなくて、子どもの希望にあわせて誕生日の計画を作るのです。幼児であれば「ハワイに行きたい」とは言いません。実現可能な希望を親は引き出してあげることです。本人の自由な望みにあわせて誕生日を計画し、誕生日を待ち望む雰囲気を作るのです。子どものやりたいことを聞きだし一緒に遊ぶとか、大好物を食べに行ったり、何でも良いでしょう。自然に会話が始まるような時間とするのです。家族みんなで迎える誕生日を、子どもの個性を最大限尊重した日とするのです。子どもの心が安定し、安心して過ごせるための工夫の一つが誕生日を楽しく過ごすということです。一年に一回だけの誕生日では余りにも少ないですから、「○○ちゃんの日」を毎月持ってもよいかもしれませんね。

2020年10月25日日曜日

親同士の交流

  お子さんの友だちが悪さをしているのを見たらあなたはどうしますか。

1、 黙って見て見ぬふりをする。

2、 その場でみんなの前で注意する。

3、 その場を離れてその子一人を呼んで注意をする。

4、 その他。

如何でしょうか。

子ども同士の間には様々な問題が発生するのです。そのような時に大切だと思う事をお伝えします。それは、親同士がなるべくことばを交わし、交流の機会を意識して持つことです。そうすると、子どもたちも、もっと仲良く遊べるようになるでしょう。当然ですが、その為には親の努力が求められるでしょう。ほとんどの親にとって、他人から自分のかわいい子どもが注意されたり、非を指摘されたりすることは愉快なことではありません。とても微妙な問題になり得ます。ですから、ほとんどの場合、子どものしでかした問題や振る舞いについて親同士が話し合う事はめったにないかもしれません。全くないとも言えるかもしれません。

しかし、子どもは親同士が話し合わないことを見抜いているかもしれません。そして、それを良いことにしてイタズラや悪さを繰り返すかもしれません。このような場合の対策はお母さん同士がしっかりと交流していくことです。

「うちの子どもがお宅でどんなことをしているか是非教えてください。弱い者いじめをしたり、大人に失礼なことを言ったり、したりしたならば教えてください。私も、何かあったら正直にお話しします。宜しくお願いします。」

子どもの評価が悪いと親は落ち込むでしょう。親は自分が責められているように感じるものです。しかし、完璧な子どもはどこにもいないのです。耳をふさいではいけません。親たちが、お互いに正直に話し合える雰囲気を持ち、親同士の交流を子どもたちに示せるならば子ども同士の交流も良い方向へと成長していくのではないかと思います。

2020年2月16日日曜日

子どもの個性

雪の結晶を見たことがあります。すぐに溶けて消えてしまいますので観察の準備が大切です。何度も何度も雪を取り顕微鏡で見ます。短時間でスケッチをします。ご存知のように雪の結晶はどれひとつ同じものはありません。とても不思議です。人の指紋も誰ひとり同じものを持っている人はいないと私たちは知っています。この世界にはユニークなものがたくさんあるのです。そのようなユニークな存在の最たるものは人間だと思うのです。姿かたちが似ている人はこの世の中にいるかもしれませんが、何もかもが一致するような人は、この世界に誰もいないのです。ある教育学者が次のように語っています。「子どもにはもって生まれたユニークな学習スタイルが、生まれながらに備わっている」と。その根拠に挙げているのが双子への研究結果です。生育環境が良く似ている双子を追跡調査したところ、明らかな答えが出てくるのだそうです。それは、双子のそれぞれの性格、気質、行動パターンなどが全くと言って良いほど違うということです。同じ遺伝子を持ち、似た環境の中で育った双子でさえ大きな違いがあるのですから、年の違った兄弟や、性別の違う兄弟に違いがあるのは当たり前でしょう。まして、血のつながりのない人との違いに至っては説明の必要はないでしょう。私たちは、人間の人格の複雑さを正しく認識していないのかもしれません。人を理解しようとするときに、自分の考える型にはめ込もうとしたり、自分の感覚を押し付けたりしがちです。そのようにしてしまうと、相手はたまらずに、逃げ出すものです。「違っていて当たり前」という思いが心の片隅にしっかりと位置付けられているならば、相手はそれを感じ取るでしょう。そして、緊張や圧力を感じない関係に安心することが出来るでしょう。この世に存在しているすべての人は、それぞれがユニークな個性を持って生まれてくるのです。あなたもその中の一人ですし、あなたのお子様も同じです。違いがあるという認識をもって、親として子どもを躾け、育てていけたら素晴らしいですね。

2020年1月12日日曜日

切れやすい若者

  若者たちが「切れやすい」と言われます。なぜ簡単に暴力に走るのでしょうか。その原因を調べる追跡調査が行われました。
 最近の少年犯罪は、昔とは変わってきたそうです。例えば、12歳と13歳の少年が、ただ人が死ぬ様子を見たいと言う理由でコンビニの外で人を殴り殺すと言う事件があったそうです。また、信号待ちをしていた自動車の運転手を襲撃した少年の動機は「俺のことをにらんだから。」だったそうです。小田原のコンビニ前で、「目が合って気に入らなかった」と言う理由で殺人を犯した青年もいました。このような事件がなぜ起こるのでしょうか。専門家たちが時間と費用をかけて追跡調査をした結果、得られた結論は、「暴力行為は加害者が子ども時代に虐待され、放置された経験に関係している。」と言うことです。
ぬれたオムツを3日も替えてもらえなかったり、むやみやたらとたたかれたり、タバコの火を体に押し付けられたり、泣いてもほったらかしにされたりした赤ちゃんは、血液中にコルチゾールという物質や、アドレナリンという物質が急増するのだそうです。これらの物質は、ストレスホルモンといわれるものだそうです。体中にストレスが蓄積されていくわけです。これらのホルモンが、子どもの脳の働きにダメージを与えるために普通の子どもが得ていく感じ方や、考え方ができにくくなっていくそうです。更に、苦しんでいる人に共感する能力にもダメージを与えるのだそうです。
乳幼児はとても傷つきやすい存在です。人間の赤ちゃんは多くの世話を受けながら成長していくのです。親が適切に、彼らを守り世話をしなければ、将来、親や社会は高い代価を払うことにもなりかねません。お子さんとの親密で、かつ、ふさわしい関係は必ずや子どもの自立と麗しい家族関係を作り出していくことでしょう。